偶発性と秩序が織り重なる、生活景を育む都市ランドスケープ

柏の葉スマートシティ レジデンスエリア

KASHIWA-NO-HA SMART CITY Residence Area
住宅マスタープランまちづくり都市広場・公園南関東
柏の葉キャンパスシティは、つくばエクスプレスの開業を契機に、千葉県が主導した約273haに及ぶ大規模な区画整理事業としてはじまった。かつてはゴルフ場や果樹畑が広がる郊外であったこの地に、公・民・学が結束。「柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK)」を中核とするまちづくりの枠組みのもと、複数の事業者や建築家が段階的に関与する、稀有な都市開発が展開された。
柏の葉スマートシティ レジデンスエリア

計画の中心には、「幾何学的な都市の秩序」と「ヒューマンスケールの偶発性」の共存という考え方がある。西口駅前からこんぶくろ池公園へと伸びる強い軸線となるグリーンアクシスには、小広場を連ねる横断的な列植を重ね、歩行者が立ち止まり、佇み、交流するための余白が生み出された。また、住宅区や公共空間の周辺では、個々の前庭や菜園の連続を意識した「パブリックとプライベートの集積」として人のスケールで、歩いて楽しい空間を編み上げる手法を導入。エリアデザイン会議のもと、UDCKを中心とした公・民・学の多様な専門家による議論を通じて、増築的・段階的に生まれるまちの断片をつなぎ合わせ、統一感と多様性を両立させる都市風景が形成されている。

駅前に広がるプラザは、駅利用者を迎える玄関口であると同時に、隣接するホテルや商業施設のエントランスと連続する、まちの顔となる広場である。プラザのシンボルツリーである巨大なケヤキは、周辺の建築・高架鉄道のスケールをやわらげながら、都市の喧騒を受け止める「緑の大屋根」として機能している。

 レジデンスエリアでは、住宅棟に囲まれたグリーンアクシスを縦横に貫く「緑段」が展開されている。段状構造により緑量を立体的に確保し、人々が自然と緑豊かな空間を認識できるようデザインした。緑段は単なる植栽帯に留まらず、前庭や庭園、菜園、自由花壇として住民の手によって日常的に利用されることで、「生活景」を生む装置となっている。また、段差を利用してテラス席やビオトープカスケード、遊具、アート展示の舞台としても活用され、都市の軸線に偶発性と滞留の機会をもたらしている。

柏の葉キャンパスシティでは、こうした多様なスケールの緑や余白が、まちや住民の営みと重なり合いながら、時間とともに育ち続ける日常の風景が、現在進行形でつくり出されている。

駅前プラザのシンボルツリー、ケヤキは「緑の大屋根」として機能する。
レジデンスエリアに設置した「緑段」。住民の手によって日常的に利用され「生活景」を生む装置となっている。
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柏の葉スマートシティ レジデンスエリア

柏の葉スマートシティ レジデンスエリア

KASHIWA-NO-HA SMART CITY Residence Area
竣工2018年1月
規模56,269㎡
住所千葉県柏市若柴
業務内容 マスタープラン、基本構想、基本計画、基本設計、実施設計監修、設計管理協力
施主千葉県、柏市、三井不動産株式会社、三井不動産レジデンシャル株式会社
協働―建築:株式会社 設計組織アモルフ、光井純 アンド アソシエーツ 建築設計事務所 株式会社、株式会社スタジオタクシミズ、株式会社石本建築事務所、上野・藤井建築研究所
―照明:ICE 都市環境照明研究所
―サイン:アキタ・デザイン・カン、6D
―アート:佐藤好彦、さとうりさ、真喜志奈美、東京ピクニッククラブ、武松幸治、柳原康弘、大巻伸嗣、ジャン=リュック・ヴィルムート
―運営・マネジメント:UDCK(柏の葉アーバンデザインセンター)
―マスタープラン:團紀彦建築設計事務所
―写真:吉田 誠、オンサイト計画設計事務所
担当三谷 徹、鈴木 裕治、田下 祐多、原 行宏、中村 智子、丹部 一隆(元スタッフ)、須貝 敏如(元スタッフ)
受賞歴第35回緑の都市賞緑の事業活動部⾨国⼟交通⼤⾂賞(2015年)
2013グッドデザイン賞
メディア掲載『新建築』(株式会社新建築社、2011年11月号)
『新建築』(株式会社新建築社、2013年1月号)
『ランドスケープデザイン No.99』(株式会社マルモ出版、2014年12月号)
『作品選集13』(公益社団法人 日本造園学会、2016年2月号)
『ランドスケープ作品選集15』(公益社団法人 日本造園学会、2020年3月号)
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