建築と周辺環境を媒介する「間」のランドスケープ

建築は、南東側の蛇口湾に面して施設の文化的性格を象徴するため、敷地のコンテクストとなる山・海・公園の3方向に対して強いつながりを示唆するパビリオンが、基壇状の建築の上部に展開する構成となっている。この彫刻的な形態をより象徴的に見せると同時に、女神公園や海といった周辺環境との良好な関係性を生み出すため、ランドスケープでは「間」を設けることを提案した。「間」を構成する主な要素として、北東側に、折り目をもつ芝生のアースワークによるグリーンプレートが配置されている。これにより建築からの引きが生まれ、建築の形態を際立たせると同時に、さまざまな角度から施設を眺めたり、イベントを開催したりできる空間となった。グリーンプレートの女神公園側には、有機的な線形と呼応する高木の並木を設け、その下には滞在可能なグリーンテラスやグリーンプラザといった人の居場所を配置した。グリーンプレートの地下には駐車場が設けられ、地上出口はアースワークのなかのフォリー(風景のアクセントとなる東屋)として認識されるように計画されている。
グリーンプレートは建築の構成に応じてその様相を変える。まちとつながるエントランス部では人の動きを導きの涼やかなカスケード(小さな滝)を設置。蛇口湾側では人々を水際へゆるやかに誘導し、海を眺めることのできる段々状のベイサイドテラスを設けた。また、基壇状になった建築の屋上には、来訪者が自由に散策できる「ルーフプラザ」が設けられ、建築内外を横断する回遊性が生み出されている。
この場所では、本来は対象物と距離を取る空白として機能する「間」が、ランドスケープの構成主体となり、建築や周辺環境とのつながりをつくっている。来訪者は散策するようにランドスケープをめぐり、自分の好きな居場所を見つけたり、偶発的に文化やアートと出会ったりする。こうした体験を通じて、日常的に利用する機会をつくり出し、人々を呼び込みながら、このエリアのさまざまな活動を内包する施設として、文化と芸術の発展に寄与することが意図されている。


















Data

深圳海上世界文化芸術中心
| 竣工 | 2017年11月 |
|---|---|
| 規模 | 26,151.61㎡ |
| 住所 | 中国深圳市蛇口望海路1187号 |
| 業務内容 | 基本設計、実施設計、設計監理 |
| 施主 | 中国招商局 |
| 協働 | 建築:槇総合計画事務所 構造:Arup |
| 担当 | 三谷 徹、戸田 知佐、須貝 敏如(元スタッフ)、本田 亮吾、橋内 智也(元スタッフ)、小林 海子(元スタッフ) |
| メディア掲載 | 『新建築』(新建築社、2018年1月号) |

