多摩丘陵の地形を復元した暮らしの風景

諏訪2丁目住宅建替え計画/Brillia 多摩ニュータウン

Brillia Tama Newtown
住宅まちづくり地形を読む広場・公園南関東
多摩ニュータウンの初期分譲である諏訪2丁目住宅の建替えプロジェクトである。敷地の一部には、1971年のニュータウン開発以前から残された多摩丘陵の雑木林が保存されていたが、その急斜面の林は、隣接する多摩市所有の中央貫通通路と諏訪第2公園の存在とあいまって、団地の空間を分断する要因となっていた。また、今回の建替えでは、建築の容積率緩和により、640戸・5階建ての建物が、1249戸・14階建てへと更新され、延べ床面積が約4倍となる計画であった。そのため、初期開発時に比べて建築の存在感が大きくなることも明らかであった。分断されている敷地の一体化と、建築のボリュームに見合った多摩ニュータウンらしい緑のあり方を実現することが、ランドスケープデザインの課題とされた。
諏訪2丁目住宅建替え計画/Brillia 多摩ニュータウン

まず建物配置の検討にあたり、建築とランドスケープが一体の空間としてつながることを目指し、既存の雑木林を中心とした丘陵地形の復元を試みた。1970年代のニュータウン開発では、丘の頂上を削って建物を建てるための平らな敷地を造成したが、新しい計画では、建築の一部を斜面に埋め込み、丘と谷のかたちを復元した。そして、そこに人の居場所をつくることで、そのゆるやかな地形を可視化している。この豊かな緑の丘が新しい団地のコミュニティの核となるよう、東側には「丘の上の広場」、西側には「麓の庭」という、既存の雑木林とつながる空間をつくり出した。

丘の上の広場は、芝生の丘とせせらぎによる広場で、こどもたちが走り回れる遊び場である。その入り口にあるケヤキ広場は、NPOが運営するカフェとコンビニが連携することで、団地だけでなく周辺地域も含めた中心的な場所として位置づけられている。隣接する多摩市所有の中央貫通通路と諏訪第2公園については、歩道の改修や雨水対策、防犯に配慮した照明設置などを建替チームが提案し、市の事業として改修が実現した。諏訪第2公園は、団地の夏祭りが開催される場所として住民に親しまれてきたが、この改修により、団地と地域全体とのつながりも強化された。

既存の斜面林のなかには、散策路や「展望テラス」を設置し、住民や地域の人が気軽に雑木林に入り、休憩できる場所を整備した。斜面林の裾には、雨水による小さな水景を眺めながらゆっくり座れる「麓の庭」をデザインしている。

建築チームと初期段階から建築配置を検討できたことで、斜面林を含め278本の高木を保存し、ケヤキやクスノキなどの大高木33本を移植した。アカマツ斜面林には落葉樹の苗木を植え、将来的に落葉樹林へ遷移するよう計画した。また、裏になりがちな建物北側の駐輪場にもケヤキの大木を残し、駐輪場のなかにベンチを配置した「井戸端広場」をデザインした。これにより、多世代間の交流が日常生活のなかで自然に育まれる場所づくりを目指している。

東側に位置する「丘の上の広場」。緩やかな起伏の芝生とせせらぎが、のびやかな風景をつくる。
西側に作られた「麓の庭」。既存の雑木林と人々をつなぐ空間となっている。

Data

諏訪2丁目住宅建替え計画/Brillia 多摩ニュータウン

諏訪2丁目住宅建替え計画/Brillia 多摩ニュータウン

Brillia Tama Newtown
竣工2013年10月
規模64,399.93㎡
住所東京都多摩市諏訪2-2-4
業務内容 基本構想、基本計画、基本設計、実施設計、設計監理
施主諏訪2丁目住宅マンション建替組合 参加組合員、東京建物株式会社
協働建築・構造・設備:株式会社松田平田設計
構造(展望テラス・パーゴラ):株式会社KAP
総合コンサルタント:株式会社シティコンサルタンツ
写真:吉田 誠
担当戸田 知佐、田下 祐多、須貝 敏如・高橋 宏宗(元スタッフ)、金光 弘志(有限会社カネミツヒロシセッケイシツ)
受賞歴日本建築学会作品選集2018
第42回東京建築賞 東京都知事賞(2016年)
2015年度日本造園学会賞(設計作品部門)
東京都まちづくり功労者(2014年)
平成26年度まちづくり月間まちづくり功労者国土交通大臣表彰(2014年)
メディア掲載『國際新景觀 International New Landscape』(X-Color Publishing International、2016年5,6月号)
『ランドスケープ研究VOL.81 増刊 作品選集』(日本造園学会、2018年)
『ランドスケープ研究VOL.80』(日本造園学会、2016年7月号)
『ランドスケープ研究VOL.79増刊 作品選集』(日本造園学会、2016年)
『近代建築』(近代建築社、2014年4月号)
『新建築』(新建築社、2014年2月号)
関連リンク

Location

Back to Index