まちのえぐねと芝生広場が育む「ひらかれた中庭」
オガールプロジェクトは、駅前の休眠地10.7haを活用し、2005年から公民連携で進められてきた複合開発である。岩手県の中央部に位置する紫波中央駅前にあり、西側は散居村のある豊かな田園風景が広がる。オガール広場は敷地の中央に位置し、幅約30m・長さ約350mの細長い形状で、エリア全体を貫く象徴的な軸として機能している。この軸に沿って配置されたオガールプラザやオガールベースには、商業、スポーツ、宿泊などの民間機能と、図書館や子育て支援施設といった公共サービスが共存し、地域住民と来訪者の交流を支える多様な活動拠点が連なっている。

広場は、地域の誰もが日常的に使う生活の場であると同時に、町外から訪れる多くの来客を迎え入れる「まちの顔」である。そのため、「まちのえぐね (散居村地域特有の屋敷林)」と名づけられた一群の木立と、適度な大きさの芝生広場が交互に配置する構成が導き出された。周辺の散居村のスケール感やパターンを広場内に取り込み、周辺の山や田園風景を臨む、広々とした抜けをもつ芝生空間を主体としている。えぐねは夏の木陰や冬の防風機能を提供する。この広場は日常の多様な活動やイベント利用に加え、雨の日や寒い冬でも屋外で過ごせる場所となることを目指して計画された。
広場は、施設群をつなぎ合わせる大きな中庭として機能し、周囲の建物がもつ役割を補完しながら、屋内では得られない体験を生み出す空間となっている。まちのえぐねに張り巡らされた小道は、自由な回遊と偶然の出会いを誘い、木立のなかのスタジオは暑い日射しや雨風を避けつつ、屋外での気軽な集まりや学びを行える拠点となる。
芝生広場は、こどもの遊びからイベントまでを幅広く受け止め、まちのえぐねと芝生広場も互いに補完する関係にある。この広場は、建物や周辺地域をつなぎながら、人々の交流や安心感を生み出し、エリア全体の価値を高める核として存在している。













Data

紫波町オガール広場
OGAL Esplanade
| 竣工 | 2014年7月 |
|---|---|
| 規模 | 約11,600㎡ |
| 住所 | 岩手県紫波郡紫波町紫波中央駅前2丁目地内 |
| 業務内容 | 基本構想、基本計画、基本設計、実施設計、設計監理 |
| 施主 | 紫波町 |
| 協働 | 土木:サンエスコンサルタント株式会社 構造:リズムデザイン株式会社 電気・機械設備:サンエスコンサルタント株式会社 写真:吉田 誠、株式会社オガール |
| 担当 | 長谷川 浩己、丹野 麗子、原 行宏 |
| 受賞歴 | 2018年日本建築学会賞(業績) 第5回まちなか広場賞特別賞(2019年) 日本造園学会作品選集2016 |
| メディア掲載 | 『LANDSCAPE DESIGN No.121』(マルモ出版、2018年8月号) 『JA 98, Summer 2015』(新建築社、2015年) |
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