
パークシティー柏の葉2番街は、グリーンアクシスを軸に左右対称に構える明快なプランを持つ。街区は外周を巡る中高層棟で囲い込まれ、その中にグリーンアクシスをはさんで、2番街コモンがつくられた、コモンには、住民のためのスタジオ、音楽練習室、ジムの他、ボランティア経営のカフェや、周辺大学と共有するライブラリーや勉強室が設えられている。保育園が併設されているのも大きな特徴である。これらの諸施設はすべて、グリーンアクシスという強い軸によって貫かれているが、計画段階で腐心したのは、いかにこの強い軸線に対し、偶発生と複雑生を付与し、滞留やそぞろ歩きのための隙間を用意できるかであった。そのため、軸線に沿う列植並木は避け、逆に軸線を横断し敷地外周に向かって貫通しゆく複数の列植を、様々な角度でかぶせてゆく構成をとってみた。このランドスケープの構成に対し、コモン建築の設計者竹山聖氏はパズルのように建築をはめ込んでゆき、その結果、屈曲を反復する建築空間が現れ、歩を進めるごとに多様に変化する路地空間が生み出された。
グリーンアクシスを横断する列植の帯と、屈曲する建築の狭間に挿入されたのが、プランターをステップ状に積み重ねた緑段である。すべてのコモン施設はすべて緑段の緑と一体に計画されている。緑段は建築と一体となり、空間をコントロールする骨格としてある。しかしそれらは、あたかも庭の体裁をとり、時にエントランス前のかしこまった先栽、時には季節の華やぎを魅せる庭園、そして時に緑段の一部は文字通り住人たちの自由なニワとして、菜園や自由花壇として用いられている。住人の管理と関わりで様々なほころびを見せる、生きた風景を生み出す装置となっている。
緑段の一部はビオトープカスケードや広場を囲むテラス席として用いられ、また多くのアーティストが行為誘発型のアートをはめ込み、さらに人々の愛着を引き寄せ、生活景の移り変わりを紡ぎだす仕掛けとなってくれている。



















Data

柏の葉キャンパスシティ駅前広場、西口線
| 竣工 | 2014年5月 |
|---|---|
| 規模 | 147街区/31,924㎡、148街区/24,345㎡ |
| 住所 | 千葉県柏市若柴 147街区、148街区、150街区、駅前広場、西口線 |
| 施主 | 千葉県、柏市、三井不動産株式会社 |
| 協働 | マスタープラン:團紀彦建築設計事務所 照明:ICE 都市環境照明研究所 サイン:アキタ・デザイン・カン、6D デザインアーキテクト:147街区/コモン:竹山聖+アモルフ 住棟:光井純アソシエイツ、148街区ゲートスクエア/スタジオタクシミズ、石本建築事務所東京大学/上野藤井建築研究所 写真:吉田 誠、渡辺スタジオ、オンサイト計画設計事務所 |

