
本プロジェクトでは、建物・動線・緑を一体的に見直し、建物と外構が連続する明快な動線を形成するとともに、地面の高さのレベル調整や植栽計画によって、明るく開放的な外部空間の創出を目指した。 本計画の核となるのは、「現在も将来(50年後)も使いやすい、明るく多様なキャンパス空間」をつくることである。キャンパスを東西に貫く軸線を整理し、西側のにぎわいと東側の静けさが連続する環境を計画した。今後の建物建替えも見据え、建物と外構が一体的に機能する長期的な骨格を整えている。
ラーニングスクエア前では、学生の居場所不足の解消と多様な学びや交流の創出を目的に、ラーニングコモンズを屋外へと拡張。既存樹の高さに合わせた芝生の小広場を点在させ、地形に応じてレベルを調整している。家具は、一人でも気軽に利用できる個人席を十分に確保しつつ、多人数での滞在にも対応できる構成とした。また、建築側からの視線にも配慮しながら、ラーニングスクエアの頭文字である「 L 」と 「S」 をモチーフにしたベンチや、雲形のテーブルなど、実用性と遊び心を兼ね備えた家具をデザインした。さらに、旧校舎時代に植えられた樹木による視界の妨げを改善し、一部の既存樹木を残しつつ明るい緑の植栽を取り入れることで、全体として明るく軽やかなイメージの外部空間となるよう計画している。
新たに整備されたラーニングスクエア中庭は、学生が日常のなかで自然に立ち寄り、自分のペースで過ごせる場所へと生まれ変わった。大テーブルや縁台では友人と話したり一緒にランチを楽しんだりでき、個人席では授業の合間に静かに考えごとができる。やわらかな木陰やタープの下では読書や休憩が心地よく、丸テーブルやロングベンチではグループワークや部活動などが、そのまま屋外へ「あふれ出る」ように展開する。
家具と植栽がつくる明るく開放的な雰囲気は、滞在したくなる環境を生み出している。食堂や図書館など主要施設への動線ともつながり、「通り過ぎる場所」から「使いたい場所」へと変わった。こうした日常の積み重ねが、和泉キャンパスの新しい風景をつくっていく。











Data

明治大学和泉ラーニングスクエア
| 竣工 | 2022年12月 |
|---|---|
| 規模 | 5,725㎡ |
| 住所 | 東京都杉並区永福1-9-1 |
| 業務内容 | マスタープラン、基本計画、基本設計、実施設計、設計監理 |
| 施主 | 学校法人明治大学 |
| 協働 | 建築:株式会社松田平田設計 運営・マネジメント:明治大学管財部施設課 写真:吉田 誠、有限会社オンサイト計画設計事務所 |
| 担当 | 戸田 知佐、木田 裕子(有限会社育建築研究所)、丹野 麗子(マスタープランのみ) |
| 受賞歴 | 2025年度グッドデザイン賞 |
| メディア掲載 | 『新建築』(新建築社、2023年3月号) |
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