断崖絶壁から太平洋を望む非日常の居場所

「界 熱海」は、かつて「蓬莱」という名だたる老舗旅館であった施設を星野リゾートが再生したプロジェクトである。敷地は、熱海の標高差100mに及ぶ断崖の海岸沿いに位置する。ランドスケープデザインは、崖の中間に位置する「青海テラス」と名づけた湯上りの居場所を新たに設けるとともに、旅館へのアプローチと庭のリノベーションを行った。崖の道中にある客室と温泉の露天風呂、そして熱海の風土と自然を感じながら、非日常の体験を味わうための空間づくりが求められた。
界 熱海

歴史ある旅館は増築を重ねて棟を連ねていることが多いが、ここでも棟をつなぐ渡り廊下が「間」を囲う特徴を持つ。次々に現れる3つの「間」に庭としての特徴を与えることで、新たな魅力を生み出せると考えた。車寄せから玄関に至るアプローチは、短いながらも門としてのくぐり屋根を設け、飛び石を渡る通り庭とした。伊豆地方特有の温暖な気候を感じさせる植栽に彩られた中庭には、正方形の芝生を設えることで広がり感を演出している。そして、露天風呂へと向かう崖下に降りる渡り廊下の途中には、高床のデッキを崖下から立ち上げ、湯上りにくつろぐ青海テラスを設けた。

青海テラスは、かつて崖の途中にあった受水槽部分の平場を利用し、ピンファウンデーション工法(樹木を支える根のように、複数の管を地中斜めに打ち込むことで構造物に支持力を持たせる基礎工法)を用いて鉄骨造で高さ13mまで立ち上げ、露天風呂と母屋を結ぶ道中に位置づけている。太平洋を望むテラスには3段の平場を設け、下段にスツール、中段にソファ、上段にカウンターと、異なる過ごし方を体験できる場をつくった。屋根は渡り廊下と連続し、雨天でも濡れずに過ごせる。このテラス屋根は自動で帆布が開閉し、青天時には上部も開放され、太平洋を見渡しながら熱海の空気を感じることのできる湯上がり処となっている。現在は、さらなる大規模改装が進められており、休館中である。


太平洋を見渡すことのできる湯上がり処「青海テラス」
開閉する帆布の屋根があり、雨天でも濡れずにくつろぐことができ、青天時には開放されている。

Data

界 熱海

界 熱海

KAI Atami
竣工2012年8月
規模40㎡(青海テラス)
住所静岡県熱海市伊豆山750-6
業務内容 基本計画、基本設計、実施設計、設計監理
施主株式会社星野リゾート
協働建築:有限会社東 環境・建築研究所
構造:株式会社KAP
照明:有限会社都市環境照明研究所(ICE)
写真:吉田 誠
担当長谷川 浩己、鈴木 裕治、丹野 麗子、聶 立東・鈴木 香織(LKDesignOffice)
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