島の中に溶け込み、文化を育むリゾート
敷地は沖縄県八重山諸島の石垣島からフェリーで20分ほどの離島にある。人口340人ほどの小さな島だが、県内では有数の伝統的な集落形態が残る島として名を知られており、実際にも「竹富島憲章」などをベースに積極的な保全を進めている。保全活動は形態だけではなく、さまざまな文化・歴史的伝統も保全対象である。このような島にリゾートを作る計画が持ち上がったのは、そもそも昭和の中頃に売却してしまった広大な土地の帰属をめぐってのことである。ファンドなどが入り乱れ島の将来が危ぶまれた時に星野リゾートが参加することになり、リゾートを建設しつつ、その土地を徐々に島が買い戻すスキームが作られた。

リゾートを建設するにあたっては「竹富島憲章」を守り、ガイドラインに従って行うことがまず前提となった。広大な候補の土地から選んだ敷地は放棄された畑地であり、ギンネムという外来種が蔓延る一面の藪を踏査することから始まった。わずかな在来種を残し、海に面することができないという条件をクリアしつつ、(3つの既存集落があることから)第4の集落を作ることを合言葉に計画を進めた。非常に平坦な島の形状に僅かな起伏を作ることはリゾート全体の空間認識を明確にすると同時に、島の基盤である琉球石灰岩を掘削し、竹富集落のシンボルとも言えるグック(居宅周囲を囲む空石積み)の材料を現地調達するためでもある。
建設にあたっては竹富島特有の民主組織である公民館の同意を得る必要があった。島の文化や歴史を守ろうという機運の高い島であり、長い時間をかけて島の人々の同意を得ていくことが必要であった。新しい施設を作ることに対しては様々な懸念も寄せられたが、粘り強く話し合いを続け、最初に話が持ち上がってから竣工するまで7年の歳月をかけている。道の幅やグックの高さなども慎重に検討を続け、竣工後訪れた島の方に「既存の集落よりも集落らしい」と言われたことが何よりの成果であった。とはいえ、リゾートとしての魅力も必要であり、全体の宿泊等配置、白砂の道のシークエンス、すり鉢状のプールとその周りの居場所など、さまざまに滞在を楽しめるデザイン試みている。






















Data

星のや 竹富島
Hoshinoya Taketomijima
| 竣工 | 2012年4月 |
|---|---|
| 規模 | 67,249.79㎡ |
| 住所 | 沖縄県八重山郡竹富町 |
| 業務内容 | 基本設計、実施設計、設計監理 |
| 施主 | 株式会社星野リゾート |
| 協働 | 建築:東 環境・建築研究所 照明:ICE都市環境照明研究所 ランドスケープ構造:リズムデザイン 建築構造:KAP 設備:ハルス建築環境設計 写真:吉田 誠 |
| 担当 | 長谷川 浩己、鈴木 裕治、金井 幸雄、須貝 敏如 |

