
研究者たちの目を休める緑あふれる中庭を提供することクライアントからの要求であった。庭の緑は塗料の緑ではない。それは植物という生命体がかもし出す生気であり、それを最大限に感じられることが大事だと考えた。ここでは、物語性のある形態を排除し、徹底的な幾何学の中に素材としての植物を配列することで、植物の持つ微妙な色合いの変化が顕在化する。シバ、ササ、ツツジという日本の庭園に典型的な素材で緑の床を用意し、その上に44本のヤマモミジが並べられている。この寡黙なまでに植物素材だけで支配された空間において、季節ごとの雅な変化が特徴的に現れる。サツキの開花、ヤマモミジの紅葉である。カフェテリア前の85mの水盤は光を映しだし、50mの落水は風を拾いざわめく。そうした気配の満ちた中庭である。
※当プロジェクトはササキエンバイロメントデザインオフィス(SEDO)にて設計されたものです。




















Data

ノバルティスファーマ研究所中庭
Garden for Novartis Pharma
| 竣工 | 1993年 |
|---|---|
| 規模 | 4.8ha |
| 住所 | 茨城県つくば市 |
| 業務内容 | 基本設計、実施設計、施工監理 |
| 施主 | ノバルティスファーマ |
| 協働 | 建築:槇総合計画事務所 構造:青木繁研究室 設備:山脇設計事務所 |
| 担当 | 三谷 徹、鈴木 裕治、浜田 康裕(元SEDO所員) |

