
特に眺望もない谷間でいかに魅力的なリゾートを作り出すか、そのために導かれたテーマが「谷間の集落」であった。単なる周遊のための宿泊場所ではなく、敷地全体が目的地隣滞在を楽しむ場所とする。そのためにはむしろ閉じた空間であることが有利なのではないかという判断である。もう一つ大きなコンセプトはそこにすでにあるもので集落の風景を作るということであった。土地の文脈と切れてしまったリゾートではなく、軽井沢にすでに存在するもので軽井沢らしい風景を導き出すことが、真に持続的でそこでしか得られない体験をもたらしてくれるという思いからである。
まず施設の配置が重要課題となった。現況の地形をなるべく生かし、出来うる限りの既存樹木や原植生を維持していくためにかなりの量の案を検討した。その中には建物のひとつづつのボリュームをどのくらいにするかも含まれている。結果として木々の間に小さめのコテージが点在する形となっているが、これは冬の寒い時期も外を歩いて軽井沢の自然を感じてもらおうという意思の表れでもある。
水力発電の水も大きな資産であった。沈砂池以外が地面下の暗渠に隠されていた膨大な水を全て表面に露出し、既存地形を生かしながらあちこちに水音の響く段差を作り出している。谷間という環境にふさわしい水の気配に包まれ、元からこの地に生えている大木の合間に客室が点在する風景の中で、ゲストはあたかもこの集落の住人のように過ごしてくれることを期待している。




















Data

星のや軽井沢
Hoshinoya karuizawa
| 竣工 | 2005年7月 |
|---|---|
| 規模 | 敷地面積:42,055㎡、 建築面積:6,303㎡ |
| 住所 | 長野県北佐久郡軽井沢町星野 |
| 業務内容 | 基本設計、実施設計、施工監理 |
| 施主 | 株式会社星野リゾート |
| 協働 | 建築:東 環境・建築研究所 照明:ICE都市環境照明研究所 ランドスケープ構造:桐野建築構造設計 建築構造:佐野建築構造事務所 機械:知久設備計画研究所 電気:山崎設備設計事務所 写真:吉田 誠、オンサイト計画設計事務所 |
| 担当 | 長谷川 浩己、鈴木 裕治、金井 幸雄、松尾 剛志、丹野 麗子 |
| 受賞歴 | グッドデザイン賞2006、芦原義信賞、ARCASIA建築賞2007、土木学会デザイン賞選考委員特別賞 |

