
都立、府中の森公園(約17ha)の一角に計画された府中市美術館の前庭部分に、美術館としての静かなたたずまいと、さりげない非日常感を大切にした庭の設計がすすめられた。
その一つ目の仕掛けは、山採りのエゴノキとベンチ、照明が一組になった小さなプライベートスペースの創出である。ヒバの集成材によりつくられたベンチの座板やポール灯、一筆でたどれる形状のフレームなど、肌触りの良いデザインを志した。
床を構成するのみきり平板はロビーの黒い石貼りとの一体感を考慮し、特注色の黒い平板とした。のみきりの溝部分の陰影が平板の黒さを強調し、風雨や季節感を歳月の中に記録していく。敷地全体を覆うコグマザサのストライプは、空間全体に緑の柔らかさを持ち込む。
発音浸透井戸は、側溝で集められた雨水が地面に浸透していく際に、金属の太鼓のような発音体をたたき、雨降りの一日に軽やかな音を奏でる。



















Data

府中市美術館 前庭
Fuchu Art Museum, LD
| 竣工 | 2000年 |
|---|---|
| 規模 | 7,570.82㎡ |
| 住所 | 東京都府中市 |
| 業務内容 | 基本設計、実施設計、設計監理 |
| 施主 | 府中市 |
| 協働 | 建築:日本設計 音環境デザイン:庄野 泰子 写真:オンサイト計画設計事務所 |
| 担当 | 三谷 徹、戸田 知佐、廣松 奈美子(元所員) |

