熱帯の湿度を感じながら、水の音に包まれる空間

「星のやバリ」は、インドネシア・バリ島内陸部の文化・芸術の中心であるウブドの北東部、多くの遺跡が残るペジェン地区に位置する。星野リゾートが展開するラグジュアリーな滞在施設ブランド「星のや」としては、初めて海外にオープンしたリゾート施設である。敷地の周辺には田んぼが広がっており、聖なる川として信仰されるプクリサン川に面している。平坦な平地とプクリサン川に向かって深く落ち込んでいく渓谷がある地形で、「スバック」という、水源から来た水を均等に配分するための水路が谷の際を流れている。島の暮らしには、バリ・ヒンドゥー教の信仰と文化が根づいている。
星のやバリ

空間の全体計画は敷地形状をいかし、大きく2つのゾーンで構成されている。平坦な場所には、最長75mの細長い沐浴プールを中心に、客室が建ち並ぶ集落的な宿泊ゾーンがある。渓谷エリアには、レストランやスパ、ライブラリーなどを備えたパブリックゾーンが広がる。客室の1階にはアウトサイドリビングが設けられ、リビングからプールへ直接アクセスすることができる。客室前のプールは植栽で目隠しされ、プライベートな時間を過ごすことが可能。さらに植栽を抜けると、最長75mの細長いプールが広がっている。

パブリックゾーンは、スバックに並走するようにデッキウォークでつなげ、深い谷のジャングルのなかに「ガゼボ」と呼ばれる東屋を浮かべた。ガゼボは、細かく編み込まれた鳥籠のようなデザインで、壁やガラスもなく、熱帯特有のスコールの際には雨音や湿度がダイレクトに伝わってくる。

バリにおいて「水」は、聖なる信仰の対象であると同時に、農業やコミュニティを支える大切な存在とされてきた。熱帯の湿度を感じながら水の音に包まれるこの空間では、バリ特有の自然を大切にする世界観を味わうことができる。

敷地の周辺に広がる田んぼ。

スバックに並走するようにデッキウォークでつなげ、深い谷のジャングルのなかにガゼボを浮かべたパブリックゾーン。

植栽で目隠しされた客室前のプールへは、リビングから直接アクセスできる。
深いジャングルに浮かぶ鳥籠のようなデザインのガゼボ。
最長75mの細長い沐浴プールを中心に、客室が建ち並ぶ集落的な宿泊ゾーン。

Data

星のやバリ

星のやバリ

HOSHINOYA Bali
竣工2017年1月
規模約30,000㎡
住所Br. Pengembungan, Desa Pejeng Kangin Kecamatan Tampaksiring, Gianyar 80552 Bali, Indonesia
業務内容 基本計画、基本設計、実施設計監修、デザインデベロップメント、工事監理協力
協働建築:有限会社東 環境・建築研究所
照明:有限会社ICE都市環境照明研究所
運営・マネジメント:株式会社星野リゾート
写真:吉田 誠、有限会社オンサイト計画設計事務所
担当長谷川 浩己、鈴木 裕治、丹野 麗子、橋内 智也(元スタッフ)、進藤 麻紀(元スタッフ)
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