
計画の「地」として3つの骨格が導かれた。最もなだらかな馬の背尾根を厚みを持った「緑の背骨」とする。一ツ木通りから赤坂通りかけて3つの広場が連なる「街並みの回廊」。そして地下鉄改札レベルより始まる新しい地形としての「坂道広場」が尾根と回廊を結びつけている。アイデアは全く単純だが、赤坂という場所、ここで実現するであろう様々な都市機能でこそ出現しうる都市広場の存在を考えていた。それは中心性の強いスクエアとしての広場ではなく、連綿と繋がる空間の中に、それぞれ個性を持った広場群が連続しながら浮いているようなイメージである。
回廊には3つの小さな広場が埋め込まれている。一ツ木通りではタワー前の引きの空間を演出し、赤坂通に面した広場は商業ゾーンへの前庭であり、それぞれが道行く人々の拠り所ともなる。TBS前のサカス広場は、第3の劇場空間として1m角のPC平板が敷き詰められた真っ平らな床である。坂道広場は地下レベルから立ち上がって3つの劇場空間をつなぎ、それぞれのホワイエとして、街を眺める客席として、そしてそれ自身が一つの劇場として存在している。部分が互いに繋がり、様々な「見るー見られる」が錯綜する全体が出現する。



















Data

TBS 赤坂サカス
TBS Akasaka Sakas,LD
| 竣工 | 2008年3月 |
|---|---|
| 規模 | 33,095.74㎡ |
| 住所 | 東京都港区赤坂5 |
| 業務内容 | 基本設計、実施設計、設計監理 |
| 施主 | 東京放送 |
| 協働 | 建築:久米設計 照明:ソラ・アソシエイツ 写真:吉田 誠 |
| 担当 | 長谷川 浩己、戸田 知佐、木田 裕子(元所員)、金井 幸雄、野田 亜木子 |

