
5mの高低差を持つ敷地に、多様な施設が集積し複層的なオープンスペースが連続する、それが今回のプロジェクトである。基本構想で主張したコンセプトは、こうした複合的空間に一体感を与える単一のペイブメントの創出であった。施設ごとに要求の異なる床仕上げに対し、単一の石材で対応し、空間の形状とは関係なく、同質のテクスチュアが町に広がることを目指したのである。
このコンセプトを受けて試みられたのが、中央広場の水景「打ち水プラットフォーム」である。プロジェクトの中で誰がそう呼び始めたのか、花崗岩平板舗装の上に張られる、3mmの水膜である。この境界を持たない水景はペイブメントの広がりの上に現れ、通常の歩行も可能である。
わずかな水膜は、日差しをきらめかせ、風にたなびき、緑や空を映し出す。静かに滑る水紋は夜景にしとやかさを与える。在るのではなく顕われる水景色を目指した結果である。もちろんその呼称の通り、夏場の気化冷却効果も期待通りである。



















Data

大阪福島 ほたるまち
Osaka Fukushima "HOTARUMACHI"
| 竣工 | 2008年7月 |
|---|---|
| 規模 | 12,697.23㎡ |
| 住所 | 大阪市福島区福島1-1 |
| 業務内容 | 基本設計、実施設計監修、設計監理 |
| 施主 | オリックス不動産、ビープラネッツ、三菱地所、住友商事、関電不動産、京阪電鉄不動産 |
| 協働 | 建築:竹中工務店 三菱地所 ライティングデザイン監修:LIGHTDESIGN 写真:オンサイト計画設計事務所 |
| 担当 | 三谷 徹、鈴木 裕治、松尾 剛志(元所員) |
| 受賞歴 | JCDデザインアワードBEST100、2009年度大阪まちなみ緑化賞、第9回屋上・壁面・特殊緑化技術コンクール国土交通大臣賞 |

