
敷地は京都嵐山の観光地にあり、渡月橋の袂より舟に乗ってのアプローチとなる。街中の喧噪を離れ峡谷の斜面に立つ敷地は、100年ほど前から続く旅館があり、今回新に星のやとして再生されることとなった。プロジェクト最大の特徴は、言うまでもなく急峻な斜面地での既存改修にある。改修前は眼前の峡谷美こそが売りで、敷地内のオープンスペースは和風の趣は持ちつつも、単純な動線空間に過ぎなかった。しかも建物によって外の眺望からも切り離されていた。これらの単調な空間構造かつ建築との希薄な関係はこの場所の与件であった。
そこをリゾートという空間に変換する。着いたときから始まる「京都の宿」である感覚、星のやというブランドの表現、滞在の空間すべてがここに来る根拠となること。それらの実現のため、外側の眺望と共に客室を両側から異なる二つの魅力で挟み込む構成を考えた。それが新しくかつての通路に挿入された「庭」である。車両も通り、通路であり、同時にラウンジであり庭でもある空間。そういう空間の実現を目指している。






















Data

星のや京都
Hoshinoya Kyoto,LD
| 竣工 | 2009年11月 |
|---|---|
| 規模 | 9,681.98㎡ |
| 住所 | 京都市西京区嵐山元録山町11-2 |
| 業務内容 | 基本設計、実施設計、設計監理 |
| 施主 | 星野リゾート |
| 協働 | 建築:東環境・建築研究所 照明:都市環境照明研究所(ICE) 設備:Gn設備計画、山崎設備 写真:吉田 誠 |
| 担当 | 長谷川 浩己、鈴木 裕治、丹野 麗子 |

