市民が主役の歩いて楽しい「まちの使われ方」

籠田公園・中央緑道

KAGODA PARK, CHUO-RYOKUDO
文化まちづくり広場・公園東海
「籠田公園」と「中央緑道」の再整備は、岡崎市の中心市街地を再生する公民連携プロジェクト「QURUWA PROJECT」の一環として、「歩いて楽しい界隈復活」の主軸に位置づけられていた。籠田公園は、戦後復興のシンボルとして長年市民に親しまれてきた場所であり、これからの岡崎市の顔としての役割も担っている。中央緑道は、東岡崎駅と中心市街地を結ぶ重要な移動空間。これらの再整備によってエリアの価値を高め、それが周辺にも波及することで民間による小さな投資が生まれ、まちににぎわいが戻ることが期待されていた。
籠田公園・中央緑道

わたしたちは、ランドスケープを通じて「まちの使われ方」を再設計し、市民を主役とした都市の再生を目指した。今回の再整備では、イベント利用だけに頼らず、日常的に多様な使い方ができるよう、「ひとりでも大勢でも気持ちよくいられる場所」をつくることを試みた。歴史的な背景も含め、人々の思い入れ深いこの場所の将来像についてワークショップを重ね、住民の意見を設計に反映させるプロセスを踏んでいる。近隣住民、岡崎市民、観光客、将来の住民など、さまざまな利用者を想定し、多様な過ごし方のニーズに応える空間づくりを行った。

本計画では、市民の手で大切に管理されてきた既存の大きな籠田公園の芝生広場を中心に、まち並みとスケールを合わせた居心地のよい屋根下空間エリア、明るく風通しのよいトイレを含む木陰エリアなど、機能ごとにブロック分けしたエリアがそれぞれの個性を発揮しながら、相互に補完し合うように設計されている。たとえば、芝生広場ではこどもたちが遊び、屋根下空間では本を読む人がくつろぎ、向かいのステージでは学生がダンスの練習をするなど、同じ時間にさまざまな出来事が同時に生まれ、それぞれの存在をお互いに感じられる場所を目指した。

中央緑道では、既存のヒマラヤスギの根元を保護するために生じる段差をいかし、変化に富んだ階段状の居場所が、移動空間と滞在空間をゆるやかに分けている。ヒマラヤスギに囲まれた大階段テラスの階段席からは、乙川方向の景色を望むことができ、河岸段丘による高低差を感じられる。滞在性と歩行の安全性を兼ね揃えた空間がかたちづくられた。イベントを楽しむ人々から、ただ何もしない時間を過ごす人まで、それぞれの姿が日常の風景として定着しはじめている。

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Data

籠田公園・中央緑道

籠田公園・中央緑道

KAGODA PARK, CHUO-RYOKUDO
竣工籠田公園:2019年7月、中央緑道:2021年3月
規模12,234㎡(籠田公園:6,776㎡、中央緑道:5,458㎡)
住所愛知県岡崎市籠田町68(籠田公園)
業務内容 基本設計、実施設計、設計監理
施主岡崎市
協働建築:西村 和哉(h+de-sign/architect)
土木:石川 仁司・萩原 秀之・原田 章司(葵コンサルタント株式会社)
構造:中田 琢史(リズムデザイン=モヴ株式会社)
照明:武石 正宣・柳澤 雅子(有限会社 ICE 都市環境照明研究所)
サイン:原田 祐馬・平川 かな江(UMA/design farm)
電気設備:石川 仁司・萩原 秀之・原田 章司(葵コンサルタント株式会社)
機械設備:宮崎 道名・佐野 智香(株式会社カントリー・ラボ)
写真:吉田 誠
担当長谷川 浩己、須貝 敏如(元スタッフ)、落合 洋介、上田 啓司
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