都市のなかに現れる、ヒューマンスケールのエントランス

「星のや東京」は、東京・大手町駅の丸の内オフィス街の中心に位置する。従来の庭のある低層の日本旅館ではなく、ビル1 棟を旅館とする都市型日本旅館である。与えられた敷地は非常に限られており、そのなかで地上階のエントランスをデザインする必要があった。そこでわたしたちは、この場所が旅館としてくつろげるプライベートな雰囲気の前庭としての顔をもちながらも、同時に都市の広場として、周辺との連続性をいかにつくり出せるかを目標として設計を進めた。
星のや東京

本設計では、周りの巨大な再開発やビル群に対して、ヒューマンスケールのエントランスを設えることで、塀などを設けずとも旅館前庭としての特別な領域感を醸成し、都市とつながる広場のような場を実現した。広場の木々よりも小ぶりで密度のある植栽や、4種類の帯が織りなす舗装パターン、小舟を思わせるベンチ、季節ごとに入れ替える生花のような発想のプランターなど、多様な小さなディテールの集積によって、ヒューマンスケールを感じられる庭を生み出した。

そうした小さなディテールの集積がもたらす空気感の背後には、造園会社・施工者・設計者による密なコミュニケーションがある。たとえば、4 種類の帯による舗装パターンは、短い工期のなかで丸の内エリアの厳しい基準を満たすため、時間を要する伝統技法を京都で事前にユニット化して製作・運搬することで工期を短縮するなど、さまざまな工夫が凝らされた。明確なコンセプトのもと、小さなディテールを諦めずに実現したことで、都市と連続しながらも、ほんの少し浮き立つような、ゆったりと落ち着いた空間が生まれた。

Data

星のや東京

星のや東京

HOSHINOYA Tokyo
竣工2016年4月
規模1,334.64㎡
住所東京都千代田区大手町1-9-1
業務内容 基本設計、実施設計監修、意匠監理監修
施主三菱地所株式会社、企画・プロデュース:株式会社星野リゾート
協働建築設計監理:株式会社三菱地所設計・株式会社NTTファシリティーズ
旅館計画・内装設計監理・外装デザイン協力:有限会社東環境・建築研究所
ランドスケープ設計監理:株式会社三菱地所設計
照明:有限会社ICE都市環境照明研究所
写真:株式会社ナカサアンドパートナーズ、有限会社オンサイト計画設計事務所
担当長谷川 浩己、鈴木 裕治、丹部 一隆(元スタッフ)、落合 洋介
受賞歴照明デザイン賞 優秀賞(2018年)
日本建築学会作品選集2018
第27回日本建築美術工芸協会賞 優秀賞(2017年)
2017年度JIA優秀建築選(100選)
第44回東京建築賞 一般二類部門:最優秀賞(2017年)
関連リンク

Location

Back to Index