ここにしかない日常の屋外空間

さいたま新都心駅東側にある「コクーンシティ」は、長きに渡り製糸業を営み、日本の近代化に貢献した片倉工業の製糸場跡地を、大型商業エリアとして再開発をしたプロジェクトである。開発は、コクーン1、コクーン2・3と段階的に進められた。
コクーンシティ

毎日の買い物や通勤で通る駅前商業施設の屋外空間は、人々の暮らしに最も近い日常空間である。そうした場所が便利で気持ちよく、そして少しだけ新しい発見のある場であれば、日常の暮らしはより豊かなものになる。そこで、「ここにしかない日常」をコンセプトに、ランドスケープデザインを行った。

コクーン1は駅に隣接し、コクーンシティの玄関口となるエリアである。駅前広場のコクーンガーデンと中央イベント広場のコクーンプラザには、商業的な楽しさを加えるため、ビーンズ型のマウンドやベンチなどを配置した。店舗のファサードを隠さないよう、植栽は背の低いものを中心とし、カラフルな家具と合わせることで、にぎやかで開放的な空間をつくり出している。

コクーン2・3では、敷地全体を滞留空間としてのイベント広場と回遊空間に分け、さまざまな舗装材によってそれぞれの空間を分節し、空間の重なりや奥行きを生み出した。回遊空間では、「地」となる舗装に細かいパターンを施し、敷地外の歩道とはひと味違うプライベート感を演出している。そのなかに高木や低木、花に囲まれた気持ちのよい休憩スペース「たまり空間」を点在させた。既存のケヤキ並木を保存した「けやきウォーク」のたまり空間には遊具を設置し、周りのベンチで親が見守りながら、こどもたちが自由に遊ぶことのできる場としている。

植栽計画は、庭ごとにテーマカラーをもたせた華やかな「テーマガーデン」と、常緑の定番植物で構成された落ち着きのある「ベースプランツ」に大きく分けている。特にテーマガーデンでは、設計段階から協力いただいている造園業者の力を借り、季節の花を多種織り混ぜて維持管理を行うことで、季節の移ろいとともに変化する表情を楽しめるようになっている。

イベント時のにぎわいと穏やかな日常、華やかさと静かさ。毎日の出来事とともに表情を変える屋外空間が生まれることで、人々の日々の暮らしが少しでも豊かになることを願っている。

敷地全体をイベント広場と回遊空間に分け、回遊空間には「地」となる舗装に細かいパターンを施した。
ビーンズ型のマウンドやカラフルなベンチなどを配置。
高木や低木、花に囲まれた気持ちのよい休憩スペース「たまり空間」を点在させている。

Data

コクーンシティ

コクーンシティ

COCOON CITY
竣工2015年3月
規模63,760㎡
住所埼玉県さいたま市大宮区吉敷町4-263-1
業務内容 基本設計、実施設計、設計監理
施主片倉工業株式会社
協働建築・構造・設備:大成建設株式会社
サイン:株式会社竹内デザイン
写真:吉田 誠、有限会社オンサイト計画設計事務所
担当戸田 知佐、原 行宏、小林 海子(元スタッフ)
メディア掲載『月刊近代建築』(近代建築社、2015年6月号)
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